地元の新聞の一面に掲載された記事です。当日は、当社に沢山の方がお求めに来ていただきましたが・・・正直自社店舗ではしばらく販売しない方針ですので、お近くの酒屋さんをご紹介しました。
自分たちが作った清酒、味には自信があり、スタッフたちにも1本づつ記念に持ち帰ってもらい、これからだという気合も入っているのですが・・・
心の中では、本当に私たちのお酒は地元の方々に評価されるだろうか・・・味は大丈夫だろうか・・・不安でいっぱいの日々でした。
まずは数日前、お付き合いのある地元の3つの酒屋さんにサンプルとして持っていきました。
地酒に詳しい3人の酒屋様に試飲していただき、ドキドキしていましたが、お墨付きをいただきました。さらに、まだ発売前に試飲会として、地元の飲食店 「喜の川」様に地酒好きな方々が10名位あつまり試飲していただきました。そこでも評価を得て満を持しての販売。
それでも販売日にはどう評価されるか心配でしょうがなかったです。20年前に初めていわて蔵ビールを醸造して出荷した時の様でした。
当社では昨年11月に新工場ができ、清酒も自社工場での製造にシフトしました。それから約10か月でやっと市販できるお酒ができました。
自社工場を作りたかったのは実は41年前・・・祖父が急逝し、父が世嬉の一を継いだときには、倒産寸前の会社でした。父は共同醸造(他社にOEM的に生産依頼)することで会社を存続し、蔵を残し活用して今の世嬉の一の土台を作ってくれました。父自身も酒蔵復活を考えていましたが、倒産しそうな会社を何とか維持し、次につなげることで精いっぱいだったようです。ただしその間に、今の会社の推進力となっている「クラフトビール いわて蔵ビール」の立ち上げや、もち食文化の発信の店舗「郷土料理レストラン世嬉の一」などを設立していました。
私が実家に帰った20年前、酒蔵復活を計画し、なんどかチャレンジしたのですが、岩手宮城内陸地震、東日本大震災、コロナ過と物理的・経済的なダメージがあり、その都度頓挫していきました。
最後はコロナ過に補助金の手助けもありつつも、会社の業績は最悪の時期だったので、「エイ・ヤ!」と気合で作った工場です。ただ、20年間ビール醸造の経験や、この間に様々な酒蔵を見学して考えていたことから・・・ある程度夢の形ができた酒蔵でした。
今後世嬉の一は2つのブランドで展開しようと思っています。
1つは、今の世嬉の一をリブランドする世嬉の一ブランドです。
「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを目指しなさい」と閑院の宮様に命名されたお酒のとおり、この地域だけでなく全国、世界を見て醸造していこうと思います。
そしてもう一つが「横屋」ブランド
弊社の創業期の屋号「横屋」を使用したブランドです。横屋の文字は蔵の奥にあった古い前掛けの文字をトレースしてラベルにしてもらいました。
この「横屋」はラベルにも「地元酒屋専用」と記載しています。地元で流通する限定酒にしようと思っています。
父が地域を活性化する方法に「小さな経済循環」が必要と話していました。地元の酒販店から販売していただくことで、本当に小さい経済循環ができると考え、このブランドは地域限定にしています。
当社の直売所にもおいておりません・・・
酒屋さんから地域の飲食店に納入され、地域の人々が楽しんでもらえるお酒に成長させようと思いました。なので・・・価格もかなりリーズナブル!ある酒屋さんからこの価格で大丈夫、いつまでつづけるの?と聞かれました。もちろん数年間はこの価格で頑張ろうと思っています。
なぜなら、地域に愛される「地酒」に成長してほしいからです。「地酒 横屋(よこや)」・・・自分の中での定義が地酒って、「安くて美味しくていつも飲む酒」と考えています。
だから、まずは価格を抑えようと思い、原価を考えず値付けしています。
ただ、地域の酒屋さんにお届けするので、物流コストがかかりません。箱も別売りです。ラベルも1枚。余計な飾りもつけず、4種類だけ・・・でも味はしっかりしています。
これから一関で成長してもらいたいブランドだからやせ我慢して今は皆様に愛されるお酒にします。
実は安いから美味しくないといわれたくなく、搾ったときに「あらばしり部分」と「中どり部分」しか使いません・・・これは酒を絞ったときにあまり圧力を加えず出てくる美味しい酒だけを提供するようにしたのです。「責め」といわれる最後のギューッと絞った部分は雑味も多いので、「横屋ブランド」の料理用の酒として別にしています。これも私の意地?やせ我慢?
ただただ、製造と販売を行る事で日々楽しんでいます。
来週から「世嬉の一ブランド」も醸造開始します。41年目の酒蔵復活に当たり、まずは地元を大切にしたいと思い、「横屋ブランド」から発売開始しました。
ただ、多くの投資と費用をかけていますので・・・ちゃんと世嬉の一ブランドも軌道にのせ、スタッフと次の10年をつくっていかないといけません。
これから益々楽しみです。
ぜひ、一関にお越しの際は、居酒屋などで「横屋」を見かけたらぜひ楽しんでみてください。
今日も世嬉の一は地元を愛し、新たなチャレンジを行い元気に営業中です。
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