世嬉の一酒造

蔵元だより

大吟醸 世嬉の一 720ml

2025年03月11日(火)

14年目の感謝と決意

拝啓 世嬉の一の敷地内では蕗の薹や福寿草の芽が出てきました。寒い中でも春に近づいているなぁと感じ少しウキウキとした気分になります。

皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?また、日々皆様にはご支援・ご鞭撻を賜り本当にありがとうございます。

震災から14年目になりました。いまだ多くの方々から頂いたご支援や応援を忘れることなく、スタッフと共に本日を感謝の心で過ごしております。

14年がたち、目に見える震災の傷跡はほとんど見えなくなったと思います。また、人々からの記憶も薄れてきていると思います。ただ、目に見えない部分での多くの課題も出てきております。日本全体でいえることですが、震災のあった地域では目に見えて過疎が進みませした。当時復興で再起をはかった企業も高齢化や時代についていけず、廃業した企業や倒産した企業なども多くあります。

そのような中で、世嬉の一酒造としては地域に根差した零細企業として、スタッフと共に常に新たなチャレンジをし続け元気に営業できるようになっています。また、震災の時にいなかったスタッフも多々入ってきており、その中でよりよいチームに成長しております。これも皆様から支えられているという安心感や期待に応えたいという思いから成長できていると思います。

具体的には、清酒製造設備をコンパクトにし、近代化し、新しい清酒醸造を行っています。ビール事業では、多くの企業とコラボレーションしながら、新たなビール開発や、地域の特産品を使用した商品開発を行っています。蔵元レストラン世嬉の一では、より地域の食文化を伝えるべく、もち料理やはっと鍋料理に磨きをかけております。新たなスタッフが、世嬉の一の良さを引き継ぎ、さらに進化すべく努力する日々です。

さらに、私達がより意識して力をいれていることがあります。「恩送り」です。当社に関係のある井上ひさし先生に教わった言葉ですが、いただいた恩を次の方にお送りするという考えです。震災後、この「恩送り」を意識し、小さいながら様々な活動を行ってきました。「恩送りプロジェクト」として被災した企業に微力ですが売上をすべて義援金としてお送りしたり、「東北魂ビールプロジェクト」として、新しく生まれるクラフトビールメーカーも成長できるよう、勉強会などを開いてきました。

14年目を迎えて、世嬉の一はこれからも名前の由来の通り「世の人々が嬉しくなる一番の酒造り、ビール造り、食造り」を追求し頑張っていきます。まだまだ非力な小さい企業です。ぜひ今後とも皆様のご支援ご鞭撻を頂ければありがたく思います。

末筆となりますが、皆様がこれからも心穏やかな日々を迎えられることお祈りしております。

敬具

世嬉の一酒造株式会社 佐藤 航

令和7年3月11日



Posted by sekinoichi at 08:59