世嬉の一酒造

蔵元だより

大吟醸 世嬉の一 720ml

2015年03月23日(月)

ある方にお会いしてきました。モヤモヤが晴れました!

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3月16日から5日間お休みをいただき、グアムに行って来ました。

これは、2つの理由からです。

1つは私たちが結婚10周年ということ。またこの10年間、新婚旅行以外は長期休暇をとっていなかったので、家内に感謝とねぎらいを込めて家族旅行をプレゼントしようと思っていたから。

2つ目は、ビール部門に関して悩みが多々あったので気分転換+ある人に会いたいと思ったからです。

初心に戻るため、私がビール醸造を始めたばかりのときにご指導いただいていた方にお会いしたかったからです。

(この時点で、世の中の女性に批判をいただきそうですね・・・・)

私がお会いしたかったのは、石井さんという日本人です。

もともとアメリカの急成長されたクラフトビール「ストーン」でビール醸造からマーケティング、工場のマネジメント、ブランディングなどを学ばれ、その後、日本クラフトビールの最大手の一つの会社でブルーマスター(醸造責任者)謙経営者となった方です。

日本で赤字の会社を黒字転換しがどんどん大きくした矢先に、退社され、その後グアムに移住し、グアムでは35年ぶりになる地ビール会社を立ち上げました。

日本で成功された矢先に、退社され、まったく地ビール市場もなく、また縁もゆかりもないグアムに移住して奮闘されている先輩にどうしても会いたくてお伺いしました。

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石井さんのブルワーは会社名『ISII BREWING COMPANY』といい、ブランド名は『MINAGOF(ミナゴフ)』といいます。

チャモロ語で『Happiness、Pleasure、Cheer、Joyなど幸せや喜びなどを意味する言葉)』だそうです。

2010年に設立して4年、すでに現地の方2名を採用し、現地の方にビール醸造を教えておりました。

ISII BREWING COMPANYはこちら→ http://www.ishiibrew.com/

 

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ボトル販売は1Lから!

ヤモリのマークです。尻尾でチアーズ!乾杯という文字がありますね!デザインは奥様だそうです。

ヤモリはグアムでも家を守る縁起のいい動物だそうです。

 

さて、私がモヤモヤしていたのは、これからいわて蔵ビールをどうして行こうかということです。

地ビール業界の20年程度と歴史はまだ浅いですが、まるでジェットコースターのように上がり下がりしています。

1994年法改正があり、地ビールメーカーが一気にできました。それから1998年頃までは地ビールブームに沸くのですが、

その後急速に減少し、1999年から2010年頃までは毎年平均10社ずつ廃業していきました。

2012年頃からまたじわじわと地ビールブーム(この時期にはクラフトビールブーム)になり、現在は大手が参入するくらい人気になっています。

そのようにクラフトビールブームの中、知り合いのビール会社さんはどんどん工場を拡大され、大きくなっておりました。

当社も呑んでいただけるお客様が増えてはいるのですが、東北人の遅い性格なのか、なかなか規模の拡大には踏み切れないでおりました。

 

そんな中、石井さんにお会いしたいと思ったのです。

 

なぜ、あれほど成功しているビール会社を辞めたのか?

また、日本で石井さんを手伝いたいという方は沢山いたのに、それを捨てグアムにきたのか???

何か私達にもヒントになるような気がしてお会いしました。

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右の赤いシャツをきている方が石井さんです。(彼は赤が大好きでいつも燃えているような人です)

 

様々なお話しをしておりますが、プライベートな事もあるのでここでは控えさせて頂きます。

(石井さんのことは下記の記事にも掲載されているのでご参照下さい)

→ http://www.jiji.com/jc/v4?id=20131224_minagof0001

 

石井さんとお話ししていると、『航は何でビールを造っているか?』と常に 聞かれているようでした。

初心に戻れということです。

 

規模の拡大は、経営者として憧れではあります。

私のいわて蔵ビールをたくさんの人が呑んでいる姿を想像すると、とても幸せな気分になります。

 

でも私自身が本当に行いたいことは何か・・・

「ビールを通して岩手のすばらしさを伝えたい!」

「いわて蔵ビールを通して、お客様も関わっているスタッフやその他の人たちも幸せな人生を送れるようにしたい!」

 

となると、規模の拡大の前にまだまだやることがあると気づかされました。

 

横目で他社がどんどん拡大していくことを見たり、新規にブルワーがどんどんできるのを見て、

自分は少し焦っていたのだなぁと気づかされました。

私がしたい仕事とは、意義とは・・・そんなことを気づかされた時間でした。

 

石井さんとお話しして印象深かったことは、

1.自分の心が通ったビール造りをしたい。

2.現地スタッフを採用してその人たちを独立させたい。グアムにもクラフトビール業界を作りたい。

(結局、いつも石井さんは自分だけが成功するのではなく、みんなで成功するように考えていることです)

石井さんの下で勉強していたアメリカ人はとても真剣に醸造していました。

 

石井さんの一言一言が私の脳を、そして心を刺激してくれました

 

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石井さんの会社の壁に落書きさせてもらいました(笑)一番上のが私のです。

 

実はこの後にちょっとしたオチがありました。

石井さんの醸造所はアウトレットモールから400mくらいのところにあります。

私は家内と子どもたちに「石井さんに挨拶しに行くだけだから、1時間くらいでもどってくるよ」といい、ショッピングセンターに家族を置いていきました。

石井さんの話に引き込まれ、あっという間に2時間30分が立ち・・・

大急ぎで戻ったときには、家内の目には涙・・・「子供たちは海に行きたい~!(連呼)」

知らないところで小さい子ども2人と置き去りにされ・・・

 

平謝りして、夕方から子供たちを海につれていきましたが・・・

家内は泣きながら、私が石井さんのところで買ってきたビール2Lをほぼ飲み干し、2時間ほどお説教をいただきました。

翌日も平謝りをし、機嫌の治ってくれた家内と子どもを石井さんのビールが置いてあるエビ料理屋さんでもてなしました。

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Beachin' Shrimpというお店です。繁華街にあります。昼間から行列できていました。

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カウンターには、大手ビールさんのほかにミナゴフのビールサーバーがあります。

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IPAとペールエールです。トレードマークのヤモリがとてもキュートですね。

ビールは最高に美味しかったです。

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エビ好きの子供たちとビールとお水で乾杯しました。ホップの苦さと香りが料理にとても合います。

家内も乾杯してくれました。(すごくホっとしました)

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ちょっと遠出して自分の進むべき方向を再確認した時間でした。

(家内にはまたまた迷惑をかけましたが・・・・)

 

今、いわて蔵ビールは工場を大きくするより、品質の向上を目指すため、さらに掃除の徹底に力を入れています。

いわて蔵ビールを通して、より多くの人に岩手のすばらしさをより知ってもらうため、

一気に拡大はできませんが、東北人らしく地道にすすもうと思いました。

今日も世嬉の一は元気に営業しています!

 



Posted by sekinoichi at 07:59